彼女は僕に恋をした。
僕は、コーヒーショップで働いている。今日は、店じまいをして、お金の計算をして、帰ってきたところだ。


どういう訳か、1000円の違算がでて、店長に怒られた。僕のせいじゃないかもしれないのに。レジは、店長も使ったんだから。



店長は、35歳の男の人で、僕のことが嫌いなのだ。いつも暗い顔をして、陰気くさいからだろうか。どうでもいいけど。



それでも、怒られたことには腹を立ててた僕は、店長の悪口をいい連ねた。



寒い部屋には、小さな携帯暖房の赤い光。パイプベッドの上の薄いマットと、安物のソファ。



それでも、ななみがいると、それだけで、体温が暖かくなるのを感じる。激しい熱はないけど、ぼんやりとしたあたたかみの中にいると、僕の怒りなんて、すっかり解けていった。



「嫌な奴、私の要くんをいじめて楽しんでるんだ。大丈夫だよ、要君は悪くないって、私にはわかるもの」






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