それは、小さな街の小さな恋。


美雨ちゃんとおばあちゃんを診察室に案内したら、看護師の江原さんに任せ事務室へと戻る。


すると、


「あら、今日は俊ちゃんが診てくれるの?」


おばあちゃんのキラキラした声が診察室から聞こえてきた。


さっきまで真広さんのことで不機嫌だったはずのおばあちゃんが、すっかり機嫌を取り戻し、俊ちゃんにめろめろになっているらしい。


俊ちゃんは、昔から老若男女問わず人気者だ。この街でも、すごく人望がある。

イケメンだから、女の子やおばちゃん達にモテるのは分かる。

でも、同年代の男性からもおじちゃん達からも何だかんだで頼りにされて、俊ちゃんも頼りにしている。

デリカシーの欠片もない最低男だって言うのに。


この街は俊ちゃんのことが好きだ。


俊ちゃんが休みの日にはなるべく帰ってくるようにしているのも、何だかんだでこの街が好きだからだ。


だから、街の人たちは皆俊ちゃんが好き。

何だかんだで、私も。


まあ、最低男に変わりはないけどね。

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