<BL>  お前は俺のものだ。~古賀凛side~
    家へ  (父の自室)


ドアを開いた。


「父さん」 


父は、机で仕事をしていた。


「凛、行儀が悪いぞ。
人の部屋に入るときはノックくらい……」


「航大君は何処に居るんですか」


「悠真から取り上げた件か」


「悠真がどれだけ傷つけたか、
分かっているんですか?」


「雇い主の子供に手を出したんだ。
お前は怒る相手を間違えている」


父の言うことは間違っていない。

でも、悠真を幸せにしたい。


「悠真は、航大君と恋人として
愛し合っています」


「過ちを正すのが親の役目だ」


「過ちではありません。
悠真も航大君もお互いを必要としています」


「あの子は、俺に何かしらの利益があるか
体が弱いからとどれだけ金を使ったか。

凛、お前に分かるか。
無償の愛など存在しない。

皆、何かしらの利益為に存在するんだ」



無償の愛……。



「それは、違います。
この人と一緒にいたいと願うんです。

愛して欲しいならば、まず自分から愛する

父さんは相手に利益しか求めないから
知らないだけではないですか?

人を心の底から愛するのは、
とても幸福なことなんですよ」


「愛などくだらん。

どうせ、俺に寄ってくる連中は、
古賀財閥と言う肩書きと金目当てだ。

親父の代で経営が危うくなった時、
周りから人が居なくなった。

友情も愛もくだらない。

皆、自分のことだけ考えていればいい。

だから、俺は相手に利益しか望まない」


「母さんも同じだった」


「それは……」


「言ってたでしょ。
母さんだけは信じられたって……。

昔を思い出してよ。
悠真が生まれる前は優しかったのに……、
いつの間にか、両親が嫌いになって、

経営が危うくなった時、誰も側に居てくれなかったことも、悠真の体の弱いことも

それこそ怒る相手を間違えてる

もう、僕は、父さんの事を信じられない」



無言が続いた。



「はぁ、高松なら、新しく出来たホテルに
居る」


「Hotel K に!!」


「あぁ、さっさと行け」


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