椿 バージョン1
「俺、こっち戻ってきたから」

そうだよね。
ここにいるってことは。
へへっ。そっかぁ。
帰ってきたのかぁ。

「お帰り!竜!」

「あぁ。只今」

嬉しくて頬が緩む。
懐かしい、この感じ。
小学生の時に別れて以来。

「なぁ、俺の親友がここにいるはずなんだけど……椿、お前知らねぇか?」

「ええっ!?」

竜。親友いるの?
そんな不良なのに?

あー、でもいるか。
私も百合っていう大事な親友がいるもんね!!

「んー。親友の名前……なに?」

「暁人。金崎、暁人」

「………………」

「知ってるか?」

「「ええっ!?」」

百合と私が叫んだのはほぼ同時。

暁人って…………あの暁人!?

「知ってる知ってる……」

知ってるも何も朝会ったばっかりだしね!

頭の中は混乱。

竜と暁人が親友……?

はは。なんの偶然だろうか。

「マジで!?
暁人のとこに連れてってくんねぇ?」

竜は嬉しそうに嬉々として話す。

私は嫌な予感しかしないんだけど。

「暁人なら……たぶん……」

百合にあとはよろしくとお願いして
暁人がいるであろう場所へ向かう。



「は…………?
生徒会室??」

竜は驚いたように目を見開いている。
この様子だと竜も聞いてなかったのね。

ーーコンコン

控えめなノックを2回。

「開いてるからはいってー」

やけに落ち着いた声が聞こえた。

来たくはなかったが仕方ない。
私はほんの少し、
暁人たちと関わることに決めた。
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