オオカミくんと子ブタちゃん

王子様に初恋?



ワイワイと賑やかな教室

澄み渡る青い空

ユラユラと気持ちよさそうに揺れるカーテン…


「 ハァァァァァァァァ…。」


窓の外を見ながら 超巨大なため息をつく私。



「な、なに⁈葵、どうしたの???」

ファッション雑誌をペラペラとめくっていた優衣の手が止まり、デッカイため息をついた私を驚いた様子で見つめる。

「あ、ごめん。無意識にため息が出ちゃった。」

「なに?何か悩み事でもあるの?」

少し心配そうな顔をする優衣。

「ん〜…ちょっとね、昨日パパに爆弾発言されちゃって。ただいま混乱中って感じ?」

「そっか…。私で良かったら、いつでも話し聞くよ。葵が話したいタイミングでいいから言ってね。」

と言って優衣は私の頭を優しく撫でてくれた。

「ありがとう。」

優衣の思いやりに心が温かくなる…。

優衣と会ってまだ2日目だなんて思えないな…。

今の段階で「話しを聞くよ」って言われてたら私は困ってたかも?

だって…今はまだ頭の中がグチャグチャで、どうしたらいいのか分からない状態なんだもん。

私が話したいタイミングに合わせてくれるなんてすごく嬉しい。

優衣って本当にいい子だな。

居心地いいし、私の事もわかってくれてる気がする。

ずっと前からの友達みたいだな。

「優衣っ大好きっ。」

私はなんだか嬉しい気持ちでいっぱいになって優衣に抱きついた。

「あははっ、なぁに?葵ってば照れるじゃん。」

と笑いながら、優衣は私の背中をポンポンとする。

その仕草に私は更にホッと安心をした。

なんだか優衣ってお姉さんみたい。

守ってあげたくなるタイプだと思ってたけど、実は反対なのかも知れないな。

しばらくして 、背中をポンポンとしていた優衣の手が止まる。

「そういえばさぁ…葵、担任の小林クンに呼ばれてなかった?」

ハッ⁈

そうだっ!小林クンに職員室へ来いって言われてたんだ‼︎

「…すっかり忘れてたよ。今から職員室に行ってくる。」

と言って私は急いで教室を出て職員室へと向かう。




ガラガラ…



「失礼しまぁす。」

職員室のドアを開けて、一応挨拶をしてから入る。

ん〜と… 小林クンの席はどこかなぁ?

職員室をぐるっと見回して、担任の小林クンを探す。

あ…小林クン発見。

私は小林クンの席までトコトコと歩く。

「小林ク…先生。」

危ない、危ない。

小林クンって言っちゃうところだった。

「おう、小辺田。遅かったな、忘れられてんじゃないかと思ったぞ。」

ニヤッと意地悪そうに笑う小林クン。

担任の小林クンは若い。

年齢は噂によると25歳らしい。

短髪のツンツン頭で、顔は結構イケメンの部類に入ると思う。

生徒の母親たちに人気だとかなんとか…。

「…別に忘れてませんよ。」

本当は忘れてたけど…。

「ハハ…嘘くさいな。まぁいいや、コレ教室に持って行っておいてくれ。」

ポンッとプリントを渡される。

「なんで私?」

出席番号が1番なわけじゃないし、委員長でもないし。

「別に意味はない。強いて言えば…お前、目立つから?」

ニカッと笑う小林クン。

私のどこが目立つんだ?

「なにそれ、適当だなぁ。」

年が近いせいか親近感から自然とタメ口になる。

「まぁ、そう言うなよ。プリント頼むな。」

タメ口でも全く気にしてない様子の小林クン。

なんだか仲良くなれそうだな。

「はぁい。」

と言って私は職員室を出て、長い廊下を歩きだした。

職員室は2階、私たち1年の教室は1階にあるため階段を下りようと一歩踏み出す。

っ‼︎

プリントを持っていたため下が良く見えていなかった私は、階段を踏み外してしまった。



ヤバいっ‼︎落ちるっっ‼︎



「危ないっ‼︎」



グッと私のお腹あたりに誰かの腕が入り、後ろから体を支えられた。

プリントがヒラヒラと下に落ちていく。

サァーと血の気が引いていくのがわかった。

マジでヤバかった…。

「だ、大丈夫?」

「はっはい、大丈夫です。ありがとうございます。」

私は振り返り、助けてくれた人にお礼を言う。

「良かったぁ。」

その人はホッと胸を撫で下ろし笑顔で言った。

っ///⁈

た、太陽だっ。

キラキラスマイルだっ。

さ、爽やかすぎるっっ。

助けてくれたその人は爽やかイケメンだった。

艶やかな黒髪、斜めに分けられた前髪に綺麗な二重…

笑った時のえくぼがまた可愛い…

私は無意識にジッと爽やかイケメン君に魅入ってしまう。

「あ、あの…そんなに見られると…。」

イケメン君は私から目を逸らし、ガシガシっと頭を掻いた。

あ…パパと同じ癖だ……。

なんか急に親近感わくなぁ。

「あはは、ごめんなさい。私、1-B小辺田 葵って言います。助かりました、本当にありがとうございました。」

ペコリと頭を下げてお礼を言う。

「僕は1-Cの滝沢 涼介(たきざわ りょうすけ)です。ケガがなくて良かったです。」

キラキラスマイルで自己紹介をしてくれた。

滝沢くんはトントンッと軽やかに階段を下りて、散らばったプリントを拾い出した。

慌てて私も階段を下りプリントを拾う。

「滝沢くんいいよ、私が拾うから。」

「僕が拾いたいだけだから、気にしないで。」

にっこりと笑い、テキパキとプリントを拾い集めてくれた。

お、王子様だ…。

見た目も中身も、なんて王子様なんだろう。

この世にこんなに完璧な人がいるなんて…。

か、感動ですっ///

「これで全部かな?小辺田さんのも貸してね。」

滝沢くんが私の持っていたプリントを自分のと合わせる。

「じゃ、行こっか。」

とキラキラスマイルで全てのプリントを持って階段を下りて行く滝沢くん。

「滝沢くん、私が持つよっ。」

「何言ってるの?女の子に重たい物なんて持たせられないよ。これでも一応、男ですから。」

「あ…ありがとう。」

「どういたしまして。」

ニッコリと笑う滝沢くんと一緒に教室へと向かった。

へへ…女の子扱いをされて、なんだかくすぐったいな。

滝沢くんの彼女になる人って凄く幸せだろうな…なんて思っていたら、あっと言う間に1-Bの教室に着いてしまった。

「ありがとう、滝沢くん。」

私は滝沢くんからプリントを受け取る。

「どういたしまして。これから階段を下りる時は気を付けてね。」

キラキラスマイルで私の頭をポンポンッとした滝沢くん。

っ///⁈

胸がキュンとなる。

小辺田 葵 15歳。

爽やか王子様に恋をしてしまったようです。


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