桜、舞い散る
第一章 桜
「っはぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
 
いやだ、いやだ、死にたくない……!
 
チャイナドレスの裾で転びそうになりながら彼女は走る。
 
「待て!!待て!!」
 
知っている。
止まったら負けだ。
 
あの切り取られた空だけの部屋に戻される
そんなの御免こうむる!!
 
それは心が死んでしまうのと同じだ。
魂が生きている限り、あの人に必ず会える
 
だから…………!
 
ドンッ
 
「っ~!!」
「す、すまない!何処か怪我をしていないか?大丈夫か!?」
「だ、大丈夫です」
 
その時、彼女の頭にとても悪どい考えが浮かんだ。

ええい。この人には気の毒だが、
 
今はそれしかない!
 
「すみません!
私を匿ってください!
匿わないなら此処で切り捨てます」
彼女は刀をやや抜いてそう言い捨てた。
 
彼に拒否権を与えないためにも。
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