初恋フォルティッシモ

そう確信できた直後、ふいに突然俺の心臓が余計にバクバクと激しい音を立てだす。

目の前には、夢にまで見た麻妃先輩の姿。まさか突然今日逢えるとは…。

でもずっと、逢いたくて仕方なかった。

もしも逢えたら、言いたいことだってちゃんとあって、言葉まで決めて…。


…それなのに。


目の前のその人を実際に前にした瞬間、この期に及んでまだ俺自身が「でも」と躊躇う。

今までは、ほとんど考えたことはなかったけれど…。

……本当に俺は、麻妃先輩に逢っていいんだろうか。

…麻妃先輩はどんな顔をするのかな。俺を見たら…。



“…も、きらい”

“え、”

“あたし、三島くんキライ…っ”



「…っ…」



…しかも、その時脳裏でまた蘇る。

俺自身が一番最悪だった過去。


“あの日の麻妃先輩”が、しつこいくらいに頭の中に残る。

今の俺を、邪魔して離れない。



すると、そのうち…




「お待たせ」

「!」

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