世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
[カッコいい男子1位:坂瀬 天馬
好きなもの:星?甘いもの?寝ること?
嫌いなもの:苦いもの?]


メモにはそう書かれてあった。

"?"だらけのそのメモは、恐らく私がさっき忘れていた教室に残っている男子の一人、坂瀬くんのこと。

窓際の前から二番目の席。
そこで風に髪を揺らされて伏せている。
恐らく寝ているのだろう。

坂瀬くんは、以前から女子に人気があった。
いや、多分男子からの人気もある。

その理由は、運動は得意な方で、顔も割と整っていて、まぁまぁな長身で、聞き上手であることがよく挙げられている。

運動神経がいい男子は大体モテる、というのはよくあること。

顔は少し童顔で、だけど背が高いこともあってカッコいい。

そして、彼は聞き上手。
誰かの話を笑顔で聞いているのをよく見る。

彼はいつも笑顔。
でも、私から見れば、彼は掴めない人だと思う。

いつも笑顔だから感情が読み取れない。

聞き上手である代わりに、彼は自分のことをあまり話さない。
さっきのメモに"?"が多いのも、仕方がない事だと思う。

そしてその情報についてプラスするとすれば、彼の笑顔は、私から見れば薄笑いに見えることだ。
話を聞いて、頷きながら薄笑いを浮かべ、曖昧に反応を示す。

そんな坂瀬くんの反応も、皆それが坂瀬くんだと認めているし、そんな坂瀬くんを慕っている。

でも私は、坂瀬くんのその笑顔があまり好きではなかった。

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