世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
「えっ、どうしたの?」


坂瀬くんは、よく分からない、と言うように首を傾げて曖昧に笑う。


「言った通りだよ。もうやめたいんだ、こういうの」

「...なんで?」

「...いいじゃん、無理してこんなことしなくても」


自分の声の冷たさに、驚いたと共に酷く自分が嫌になった。

私の言葉を聞いて、坂瀬くんは少し俯いた。

そして、一言言った。


「そうだね」


その声は、冷酷なような、感情的なような。

坂瀬くんの考えが、分からなくなるような言葉だった。


「無理してこんなことしてても、楽しくないしね」


そして、坂瀬くんは笑った。

あの日の青柳颯太と同じ顔に見えた。

泣きそうな、辛そうな、苦しそうな。

無理してるって認めたくせに、何でこんな顔してるの。

ふと教室のドアの方を見ると、青柳颯太が立っていた。


「...じゃあ」

「うん。...またね」


私は足早に、自分の席に戻った。
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