イレカワリ
動かない体~純side~
数時間前。


俺は2人をジッと見つめていた。


気絶してからもう数時間は経過しているけれど、2人はまだ目覚めない。


少し心配になり、マホの脈をとる。


正常に動いているようで、ホッとむねを撫でおろした。


その時だった。


歩が目を開けたのだ。


「歩!?」


すぐにかけよると、歩は目を細く開けて俺を見た。


「あぁ……」


体を重たそうに持ち上げてどうにか目を開けた歩。


「歩……なんだよな?」


「あぁ。俺だ」


歩は小さく頷いた。


「よかった。これでマホはもとに戻る」


そう言うと、歩はニヤリと笑い「マホの事が好きなんだな」と、聞いて来た。


その瞬間、俺は自分の顔がカッと熱くなるのを感じた。


俺はそこそこカッコよくて、いろんな女と付き合いがあった。


でも、好きだと感じられる女はただ1人。


マホだけだったんだ。


「悪いかよ」


「いいや、たしかにマホはいい女だ。処女でもないのに1回7万で売れたしな」


歩の言葉に俺は顔をしかめた。
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