イレカワリ
☆☆☆

翌朝。


あたしはスッキリとした気分で目を覚ました。


お風呂にもちゃんと入れたし、寝る前に課題を終わらせることもできた。


歩がお風呂に入ったと言う事だけが気がかりだったけれど、意識しないようにその事は頭の外へと追い出していた。


生きていく上で必要なことだし、仕方のないことなんだと自分に言い聞かせる。


「今日はいい天気!」


あたしは窓の外の青空を見てそう言った。


丘の上から見る空はどこまでも大きくて、まるで吸い込まれそうになる。


あたしが思っていた通りの場所だ。


制服に着替えて鞄を掴み、一階へと向かう。


両親はすでに揃っていて、お父さんは新聞を広げお母さんはコーヒーを淹れていた。


当たり前の日常に表情がほころぶのを感じる。


いいなぁ歩の家は。


平穏な日常が一番の幸せだと感じる事が出来る。


「おはよう歩」


お母さんに声をかけられて、あたしは笑顔で「おはよう」と、返した。


「課題はできたのか?」


お父さんの言葉にあたしは頷く。


あたしは今ちゃんと家族の一員になれている。


そんな気がしていたのだった。
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