イレカワリ
不信感
さっきの歩は一体どうしたっていうんだろう?


授業が始まっても歩の態度が気になって、あたしは横目で歩を見ていた。


歩はいつもと何も変わらない様子で授業を聞いている。


『あの日』の事もわからないし、封筒の中身もわからない。


それに、海という歩の兄弟のことも。


歩は海の事を忘れている様子だった。


だけど、さっきの様子からすれば海の事を覚えているように感じられたのだ。


あたしはわけがわからなくて、首を傾げた。


歩は海の事を覚えているんじゃないか?


忘れているフリをする理由があるってこと?


そんな事を考えている間に授業は進み、あっという間に放課後になっていたのだった。
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