雨降りの誕生日
2ふりめ
明るい。朝、かな。


欠伸を噛み殺しつつ目を覚ます。


がさりと音がしたのに肩が跳ね、勢いよく振り向いて――


「悲鳴上げたらぶっ殺すよ?」


般若の顔をした彼と目が合った。


「…………開口一番それですか……」


ちょっぴり心がえぐれてうなだれた。


確かに上げかけたけど。

上げたらまずいけど。


「まあ冗談だよ、冗談。状況説明してみよう、はい」


さらっと流した彼に言われるまま、状況をできる限り思い出して整理する。


「無理矢理連れてきていただきました」

「まあ、そんなようなものだね」


とりあえず頷かれたので、この認識で間違いはないらしい。


自然と頭を下げた。


「昨晩は助けていただいてありがとうございました。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」


のに。


「え……、誰? 普通に話していいよ」


目を真ん丸にして固まった後、うわあ気持ち悪いおかしなものを見た、みたいな顔をされた。


……ひどい。
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