片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「ワインとか飲みます?」

「いえ・・・結構です」

「この牛タンに合うワインありますよ」

「じゃ今度は夏芽と二人で遊びに来た時にワインは頂きます」


「夏芽さんとは上手くいってますか?」


「あ・・・まぁ」

夏芽は俺のせいで今回の企画から外されてしまった。夏芽の原案で進行していた企画だけに、彼女の落胆は大きく、俺が謝っても怒りは収まらなかった。



俺は夏芽の積んで来たキャリアを崩してしまった。


何も知らない回りから見れば、夏芽は皆が羨む結婚をしたと思う。


俺の元に嫁いだ夏芽は次期家元の花嫁。


母親のコトがあるかもしれないけど、緑川家の人間は皆、俺の選んだ女性としてを彼女を尊重して受け入れてくれた。

「上手くいってないんですか?緑川さん」


俺の歯切れの悪い返事を不審に思ったようだ。


「ちょっと仕事のコトで揉めてしまって」


「そうですか・・・」





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