片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「夏芽さんの弟だと知って、怒りたくても怒れない。まぁ、アイツからすると本気ではなさそうだ。
小陽は大手企業の副社長夫人。単に自分の太客にしたいだけのようだな」
「颯を許してくれるんですか?」
「夏芽さんに免じて許す」
拓真さんはつまみのミックスナッツを口に運びながら返した。
「冬也は何も言わないのか?」
「・・・夜は自由にさせて頂いています」
「で、今日は柾貴の所に居たんだ」
「私と柾貴さんとは何もありません」
「でも、柾貴はそうじゃないかもしれない。アイツは人のモノでもいいらしいから」
「そう言う拓真さんこそ、本当に愛人は居ないですか?」
「贔屓にしてるホステスは居るけど、愛人は居ない。この先、持つつもりもない」
「それって小陽さんオンリーってコトですか?」
「・・・そうだよ。だから、小陽が他の男となんて…許せない。この先、二人で生きて行くと決めたんだ」
「でも、拓真さんはそう思っていても、小陽さんは子供が欲しいと言っていますよ。拓真さん」
「不妊の話知ってんだ・・・」
「小陽さんから訊きました」
「俺はこの巨峰と同じで種がない」
拓真さんは自身を揶揄して、巨峰を口にした。
この巨峰は種なしの葡萄だった。
「外科的手術を受けて、種なしは改善されたけど…自然受精は難しいと言われ、何度も人工授精を試みた。でも、妊娠したが2回とも流産した。医者には体外受精を勧められたが・・・俺の中では限界だった。
小陽は長男の嫁として、実の父親に孫を抱かせたいと躍起になっている。俺は二人でいいと言うのに、小陽は嫌だと首を縦に振らない。その重圧に耐えれなくて、俺は小陽の元に帰れない」
拓真さんと小陽さんにとって子供はパンドラの箱なんだ。
決して触れてはいけないタブーなんだと。
「他人の私が言うコトではありませんでした。ゴメンなさい。拓真さん」
「どうせ、小陽から全部訊いてんだろ?」
「はい」
「俺は男として欠陥品だから子供を作れないと親父たちにも言ってしまえば、楽になるかもな。小陽も考え直してくれるかもしれない。でも、俺にもプライドがある。だから、口が裂けても言えないんだ。未だに、自分自身だって認めたくないんだ」
拓真さんがそう吐き捨ててグラスのドンペリを一気に飲み干した。
小陽は大手企業の副社長夫人。単に自分の太客にしたいだけのようだな」
「颯を許してくれるんですか?」
「夏芽さんに免じて許す」
拓真さんはつまみのミックスナッツを口に運びながら返した。
「冬也は何も言わないのか?」
「・・・夜は自由にさせて頂いています」
「で、今日は柾貴の所に居たんだ」
「私と柾貴さんとは何もありません」
「でも、柾貴はそうじゃないかもしれない。アイツは人のモノでもいいらしいから」
「そう言う拓真さんこそ、本当に愛人は居ないですか?」
「贔屓にしてるホステスは居るけど、愛人は居ない。この先、持つつもりもない」
「それって小陽さんオンリーってコトですか?」
「・・・そうだよ。だから、小陽が他の男となんて…許せない。この先、二人で生きて行くと決めたんだ」
「でも、拓真さんはそう思っていても、小陽さんは子供が欲しいと言っていますよ。拓真さん」
「不妊の話知ってんだ・・・」
「小陽さんから訊きました」
「俺はこの巨峰と同じで種がない」
拓真さんは自身を揶揄して、巨峰を口にした。
この巨峰は種なしの葡萄だった。
「外科的手術を受けて、種なしは改善されたけど…自然受精は難しいと言われ、何度も人工授精を試みた。でも、妊娠したが2回とも流産した。医者には体外受精を勧められたが・・・俺の中では限界だった。
小陽は長男の嫁として、実の父親に孫を抱かせたいと躍起になっている。俺は二人でいいと言うのに、小陽は嫌だと首を縦に振らない。その重圧に耐えれなくて、俺は小陽の元に帰れない」
拓真さんと小陽さんにとって子供はパンドラの箱なんだ。
決して触れてはいけないタブーなんだと。
「他人の私が言うコトではありませんでした。ゴメンなさい。拓真さん」
「どうせ、小陽から全部訊いてんだろ?」
「はい」
「俺は男として欠陥品だから子供を作れないと親父たちにも言ってしまえば、楽になるかもな。小陽も考え直してくれるかもしれない。でも、俺にもプライドがある。だから、口が裂けても言えないんだ。未だに、自分自身だって認めたくないんだ」
拓真さんがそう吐き捨ててグラスのドンペリを一気に飲み干した。