片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
二人の間に入る私はどうしていいのか分からず、互いの顔を見て慌てふためくしか出来ない。


「会社辞めて、どうするんですか?」


「知り合いの居ない外国で二人で暮らそう。そうしたら、何も悩むコトなんてない。二人で居ても咎めるヤツなんて誰も居ない・・・」

結婚すれば、子供が産まれて当然の風潮の国。子供が居なくても、夫婦二人仲睦まじくしていればいい。
私はそう思う。
拓真さんは周囲のプレッシャーに追い詰められていた。

「拓真・・・さん!?」


「そんなコト出来るワケないと思います。拓真さんは『星凛堂』の次期社長ですよ」


「夏芽さん、今は何も言わないで。拓真さんの言いたいコトは分かりました。とりあえず、部屋に戻って二人でお話しましょう」


「そうだな。
夏芽さん、すまない。悪い冗談を言って」


「別に、構いませんよ」


「拓真さん・・・」


小陽さんは拓真さんの捨てた缶ビールの空き缶を拾い上げた。


「貴方が会社を辞めると言うなら、私は反対しません。
外国で暮らしたいと言うなら、付いて行きます」



「小陽さん?正気ですか?」


「私にとって拓真さんが一番大切だから…心配してくれてありがとう。夏芽さん」


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