片恋シンデレラ～愛のない結婚は蜜の味～

冬也side～

「初めまして弟の颯です」


「緑川冬也だ」


俺と夏芽は弟の颯君が働く歌舞伎町のホストクラブ『ギャラクシー』に足を運び、彼に会った。


銀色の髪、チャラチャラした口調。

京大の理工学部を卒業した理系男子らしいが、その雰囲気は皆無だった。


「夏芽姉ちゃんにしてはイケメン捕まえたな」


「そう？」


顔立ちは何処となく父さんに似ていた。


「俺の顔に何か付いてます？」


「別に・・・俺の若い時の父さんに似てるなと思っただけだ」
颯君の顔から笑顔が消えた。

「颯が若い時の奈都也さんに似てる？冬也そんなコトあり得ないって・・・」
夏芽は全否定する。

お義母さんは父さんの元不倫相手。

他人の空似には到底思えない。かと言って、俺の義母弟だとは思いたくない。