片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「今朝は今までになくすがすがしい気分だ」


「お~っ。冬也」


「今朝も散歩ですか?拓真さん」


「散歩だ」


ダニエル達の散歩は拓真さんの日課になりつつある。


「今日はダニエルを頼む」


「俺は散歩じゃなく、ランニングをしたいんですけど」


「そう言うなよ」
拓真さんはダニエルのリードを俺に持たせた。


「今度、飲みに連れて行ってやるから」

「別にいいですけど」


俺達はいつものように散歩を楽しんだ。


「今朝は何だか上機嫌だな。いいコトあった?もしかして・・・夏芽さんと…初Hした?」


「分かります?」


「図星かよ。上手くいったのか?」


「まぁ―一応」


「ふうん。俺達よりもお前らは早くHに漕ぎ着けたんだな」


「拓真さん、副社長の椅子を稜真に譲って、退職するんですか?」


「やっぱり、俺・・・お義父さんを超えたいんだ」


「でも、敦司様を超えるのは並大抵ではないと思いますよ」

「そう思うけど。超えたい。俺は今まで『星凛堂』の社長を目指してキャリアを積んで来た。父さんもそう思って俺を育てた。
でも、俺は小陽と結婚して元総理を舅にした。
俺達は子供に恵まれなかった。俺の初めての挫折だ。この先も小陽と二人で生きて行くと思う。だから、俺はお義父さん以上に大きな男になりたい。俺はお義父さんと同じ総理の椅子に座る。それが、手っ取り早くお義父さんを超える方法だ」



「拓真さんは優秀だから、きっとその目標達成出来ますよ」


「そうか?冬也はそう思うか・・・お義父さんには苦笑いされたけどな」





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