片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
私が慌てて戻ると冬也が店の前で佇んでいた。

その冬也の周りを隣のテーブルに居た女の子達がぐるりと囲んでいた。
彼女達は必死に冬也に話し掛けているが、当の冬也はウザそうに眉の間を寄せている。



「私の恋人に何の用ですか?」

私は冬也の元に駆け寄り、彼の右腕を掴んだ。


「何だ…戻って来たのか・・・」

女の子達は諦めて踵を返して立ち去ってしまった。

「30分以上も放置しておいて、恋人気取りとは呆れるぜ」


冬也の仰る通りで、私に恋人と名乗る資格はない。食事も冬也の奢りとなり、立つ瀬がなくて気まずい雰囲気を漂わせて肩を並べて歩いた。





冬也には本当のコトを話した方がいいのかな?


でも、本当のコトを話した所で、偽装結婚がホンモノの結婚に発展する可能性は低い。


冬也はリアルにモテて、沢山の女性がいるワケだし。彼が私をパートナーに選んだ理由は自分と同じ人種で後腐れなく、離婚できる相手だから。


私が本気で結婚を望んでいると知れば、私を相手にはしないと思う。


結婚しても、片恋は片恋でしかなく、冬也との結婚生活には現実感がないかも。


きっと一夜の夢のように過ぎて行くんだーーー・・・
















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