片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
香苗さんは颯の顔をマジマジと見つめ、表情を変えた。

彼女は颯に奈都也さんの面影を見たんだと感じる。


「颯、奥のクローゼットの服を箱に入れて」


「俺でも分かるの?」


「クローゼットの中に残っている服は全部夏芽のモノだ。俺の服は全部持って行った」


「そう」

颯は空箱を持って奥の寝室に行った。



「彼…昔の奈都也さんにそっくりね・・・そう思わない?冬也」

「・・・」


冬也は何も答えなかった。


「『ハートフル』にもう一度勤められるように口添えしてやったのに、何故?断った?」


「冬也の厚意は嬉しかったけど・・・私は自分で探す」


「私達、結婚するのよ。夏芽さん」


私の自宅に拓真さんと遊びに来た小陽さんがそっと教えてくれた。


「知ってますよ。二人でこの部屋に住むんでしょ?」


「そうよ。だから、さっさと貴方の荷物を部屋から出して頂戴。あ、そうそう…ここにあるモノは皆処分するから…。前妻の貴方と冬也の選んだモノに囲まれて住むのはゴメンだから・・・」


「香苗!!?夏芽に冷たく当たるのはよしてくれ!!」


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