片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
荷物を後部座席に押し込んで、家路を急ぐ。


運転する颯が私に話しかける。


「姉ちゃん、怒ってる?」


「えっ?」


「俺が冬也さん殴ったコト…俺は姉ちゃんの為に冬也さんを殴った。俺は姉ちゃんの痛みを冬也さんに知って欲しかった」


「颯・・・」


「俺達の前では明るく振る舞っているけど・・・自分の部屋に入ると声を押し殺して泣いてるだろ?」


「颯は知っているんだ・・・」


「どんなにゲスな男でも、冬也さんと俺は半分血が繋がっている。俺の顔を見て冬也さんを思い出す?」


「冬也と颯は似た所あるけど、颯は颯だよ」


「それなら良かった」

颯の口許に安堵の笑みが見える。


「冬也とのコトは全部夢だったのよ」


「姉ちゃん・・・」






< 316 / 359 >

この作品をシェア

pagetop