片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
ピンクやブルー淡い色の釣鐘のような小さな花々。

「改めて言うけど・・・夏芽、カンナ退院おめでとう」

「この花は?」

「カンパニュラだ。花言葉は『感謝』」

「冬也、ありがとう」


「俺の方こそ、命がけでカンナを産んでくれて感謝するよ。夏芽」

冬也の言葉に感激して涙がこみ上げる。花に込められた冬也のストレートなキモチ。


私はカンパニュラの花束を受け取る。


「これはカンナへのプレゼントだ」


冬也はカンナにベビーリングを用意していた。7月ギリギリに誕生したカンナ。誕生石はルビー。
紅く凛とした輝きを放つ小さなルビー。


「これはパパとして『健やかに、幸せに育ちますように』と願いを込めてカンナにプレゼントするよ」

ママとしての願いでもある。


冬也のお母さんはさぞかし無念だっただろう。

冬也の成長を見届けるコトが出来なかったから・・・


冬也はジュエリーケースから抜き取ってベビーリングを眠るカンナの枕許に置いた。








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