片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「お前の母の沙也さんは1万人に一人の割合で発症する『急性妊娠脂肪肝』を患い、お前を産んだ後直ぐに昏睡状態に入った。そして、お前を抱くコトなく1週間後亡くなった。
彼女の死は私達も奈都也にとっても予想外の出来事だった。
母を亡くした赤子を不憫に思い、お前に乳を与えたのが、生後4ヵ月の子供を持つ、沙也さんの兄の妻だった。
奈都也は仕事が忙しく、生まれたばかりのお前の世話まで手が回らなかった。この私達も沙也さんの兄夫妻の厚意に甘えて、お前を預けたんだ」


母さんを亡くした寂しさを埋める為に厚意で俺の世話してくれたその兄の妻と言う人やらに父さんは手を出したってコトか・・・



「それを知った私は奈都也に別れるよう説得し、その罰として生後10ヵ月のお前を引き取り、親権を奪った。一時は別れたと思われた二人は影で何度も会っていた。相手の女性の夫からの密告で私は二人の復縁を知った。二人を別れさせ、奈都也には家元を継がせず、緑川家から追い出した。
私は道ならぬ恋に落ちた息子がどうしても許せない。今だってそうだ。自分の年を考えず、冬也と同い年の女性と結婚した。それも相手は名家の神宮寺家の令嬢だ」


爺ちゃんは矢継ぎ早に話をすると父さんに対する怒りで興奮したのか胸を抑えた。


「爺ちゃん?大丈夫?」


「大丈夫だ。いいか?冬也。お前だけはこの私を苦しめないでくれ」


「お爺ちゃん・・・」


父さんは不倫で緑川家と絶縁された・・・

それも、相手との縁が俺だなんて苦しいよ。




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