〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

「えー、いきなり...、どういう事?」

「お坊ちゃま君がどんなに私を好きだと言ってくれてもよ、奥さんになれる訳じゃ無いじゃん。
そんなのは、それこそ戯言よ。許される訳じゃ無い。
決められた人と結婚するものでしょ?ああいう人達の世界って。
そんなの初めから解ってる。
私はね、お坊ちゃま君の事、お坊ちゃま君だとは知らなかったのよ。
ただ、いい男だと思ったから声をかけたの。
私はね、珍しいんだって。
近付いて来る女の人は、彼より、まず彼の後ろにあるモノを知って、それに惹かれて近付いて来るんだって。
態度が明白だから、正直うんざりしてるって...。それはそれで可哀相な話よね。
世間でよくある事と言えばある事じゃない?。
いい男で御曹司なんだから、そういうのが大好物の女の子達には、さぞや魅力的でしょうよ。
で、そんなお坊ちゃま君と結婚は無い話なんだから、こんなフワフワした自由人を愛してくれるって言うなら、それでもいいかなって」

「麻美、つまり、それは...」

「うん、それよ。
だから、誓約書書いて貰うの。
私にとっては婚姻届みたいなモノよ。
法律とか難しい事は解らない。
だから、それが有効なモノになるのかも知らないけど。期限があるなら、ずっと新しいの書いて更新してもらうわ。
お坊ちゃま君の気持ちの問題なのよ。
私がおばあちゃんになっても別れないって、それに同意してくれるなら、それでいい。
駄目なら、この指輪も返して、綺麗さっぱり終わりにする。
私が欲しいのはあいつの気持ちだもん。
あ、私、どうやら...思ってた以上に好きになってたみたい。今、気が付いたわ。
京、有難う。京のお陰ね。
早速、今夜にでも...会う約束、取り付けなくちゃ。
誓約書の雛型、検索して見なくっちゃね。
さあ、仕事、仕事よ!」

麻美、強い、逞しい。麻美は麻美の生き方をしようとしてる。

「...いい報告、待ってるね」

「どっちになっても言うわよ」

バチッと音がしそうなウィンク、頂きました。
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