あやめも知らず



青年が、あるページを開いて一文を指した。
その一文の横のマークを押すと、絵本から音声が出た。

「~~~、~~~。」


音声つきの本だったんだ!
ありがたい。


あ、これはきっと自己紹介をしている。
名前のようなものを呼んでいる。


「私は、シン。」

青年が自分を指さして言う。やっと聞き取れた。

「私は、アヤメ。」

初めてこの世界で会話が成立したことに涙が出そうになった。





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