別れ雪


『ひと目会わなきゃ』


信じられない気持ちというより、紛れもなく事実である現実を受け入れる為に会いに行く。



まだ車通りの少ない時間だが、信号が行く手を阻む。赤信号に変わるたび、若干の苛立ちを覚えた。


「高速を降りると、道路って信号が多いと感じるよな」

昔のオトコが言った言葉を思い出す。


「そうだね、ホントにね」
ボソッと呟いた。


忌々しい赤を睨みつけつつ、空が群青から灰色がかった青へと変わっていることに気づいた。

夜が明けてきたのだ。



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