神木の下で会いましょう
木漏れ日の下で

三学年合同夏季合宿

じとっと纏わりつくような暑さ。

本調子じゃないセミの声。

ジメジメした夏の始まりを告げるこの暑さは苦手。

春から夏へと季節は移り変わり、制服も冬服から夏服へと涼しげな格好になった。

お花見から数ヶ月。

昴とめぐちゃんは仲睦まじく過ごしている。

見ているこっちが幸せになるようなオーラで満ち溢れてるんだ。

それがほんの少しだけ羨ましく感じるのは恋愛経験がないからかな。

ほら今も昴が輝いて見える。


「ほら、ぼーっとしてないでちゃんと前見て歩いて」

「すーばーるー、暑い」

「夏なんだから仕方ないでしょ」

「だってここ山だよ。もう少しくらい涼しくてもよくない?」

「夜になれば涼しくなると思うよ」


夜じゃなくて、今涼しくなって欲しいんだけどな。

今日は夏の恒例イベント『三学年合同夏季合宿』の初日。

山道を歩きながら、遥か後方にいる春を探す。

すぐにダークブラウンの頭を見つけて心が弾んだ。

隣にはめぐちゃんがいて仲良さそうに談笑している。

私も交ぜてほしい。

昴の隣を歩くのは嫌じゃないけど、春の隣を歩きたかった。

あんなことさえなければ歩いてたはずなのに。
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