あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~


「友芽は俺のものだ。誰にも渡せない」



志賀くんは、私の手を思いっきり、引っ張って抱きしめた。


どうしちゃったの?


「ああ、友芽だ」
彼は、私の頭に顔をこすりつける。



彼は、いきなり両脇に手を入れ、ひょいっと子供を抱き上げるようにして、私を抱き上げた。



彼は、何を思ったのか、そのまま私の体を振り回すように、くるっと一周する。


「ち、ちょっと、志賀くん?」



なに?何が起こったの?
振り落とされないように、反射的に彼にしがみついた。



「志賀くん止めてってば!」
志賀くんの顔が私より下にある。



彼は、抱き上げたまま、
私を見上げている。
「俺も、友芽のこと好きだ。もう離さない」


「し、志賀くん?ここ商店街の真ん中だよ?みんな見てる…」


「ん…友芽、降ろすよ」
彼は、私を地面の上に降ろした。



「友芽、キスしとくか」


「人前だって、その目、ちょっと、本気なの?何ですって!!ああっ…」



志賀くんはしっかり捕まえると、両手で私の頭をつかまえて、見物客の見てる前で、息が止まるかと思うほど長いキスをした。



「志賀くん…もうその辺で止めて。みんな集まってきてる」
既に、人の輪が出来ていて、私たちを囲んでいる。


「そんなこと構うもんか。
友芽が本当に俺のものになってくれるなら、
俺、このまま死んでも構わない」


志賀くん?あなた、本当に志賀くんなの?

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