ねぇ、好きだよ。―幼馴染に片想い―


「今だけは私も、相田の意見に同感するわ。」


杏華まで……。


「だ、だってさくちゃんは記憶がないんだよ?……なのに私を好きなんて……ありえないよ…。」



「記憶がないなんて関係ないじゃない。記憶がない上で、陽和のことを好きになってくれたってことでしょ…?

それって逆に嬉しいことじゃない?」


そう、杏華に言われた。
 

私が「嬉しいけど…」と答えようとすると、和希くんがいきなり立ち上がった。


「陽和ちゃん、今日は俺だけ咲夜の病室行っていい?」


「…え、…?…う、うん?」


「っしゃ!じゃあ明日、明日は陽和ちゃんが行ってね?」


え、……私が?


「でも…ずっと行けてなかったし……。」


「だいじょーぶ!明日病室に行けば絶対良い事あるから!!」


「良い事……?」


「それは、明日行ってからのお楽しみ!」


良い事…か‥…なんだろう…。
 


「わ、わかった!私…頑張るね!」



「おうっ!その意気その意気!」



和希くんにちょっとだけ勇気をもらった。



「陽和、一人で大丈夫?

明日、私もついていこうか?」  


やっぱり杏華は優しいなぁ…。


「ううん、大丈夫!明日は一人で頑張ってみるよ!

ありがとね、杏華!」


「そう、わかった。頑張ってきな。

何かあったら今度はすぐ言いなよ?」


「うん!」



杏華と和希くん、いつも本当にありがとう。


私は心の中で二人にお礼を言った。


< 153 / 213 >

この作品をシェア

pagetop