可愛い弟の為に
更にその頃。

僕に見合い話が浮上していた。

まあ、今までも何度もあったが。

「…はあ?」

思わず声を上げる。

相手は10歳年下。

つまり。

透と同い年。

まだ、彼女は高校生。

いやいや、犯罪だよ、これ。



彼女の名前は生駒 桃子さん。

隣の市にある生駒医院の娘さん。

桃子さんと妹の撫子さんの二人姉妹で後継ぎがいない。

生駒の名前は継がなくて良いが、それなりに大きくした病院をいずれは継げる人物を探していた。

最初、先方は二男の透を指名してきた。

が、父さんが断った。

医学部を目指しているが、入ったところで中退する可能性も大ありなので怖くて差し出せません、と。

それは僕も同意見。

医学部を目指す前は漫画家になりたいとか言ってたし。

漫画家もまだあり得る。



僕は一旦この話を保留にした。

歳が離れすぎている。

…それに疲れそう、何となく。
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