東の国 妖合戦
「西の国、妖頭領…」

悪五郎は刀を下段に構える。

「神野 悪五郎、参る!」

まるで鼬か隼かと言わんばかりの速さで、悪五郎は踏み出す!

妖怪でさえ目を見張るほどの瞬足で、谷を渡す巨木を駆け抜ける悪五郎。

「させませんわ!」

枝の槍、蔦の鞭を次々と繰り出す樹。

しかし悪五郎は、これを抜群の太刀捌きで斬り、断ち、刻む。

「くぅぅうぅっ!」

悔し紛れの声と共に、足の甲に当たる部分に生育する菌糸類(キノコなど)から胞子を飛ばす樹。

毒性の強いカエンダケの胞子。

触れるだけで焼けるような激痛を伴うが。

「ふぅんっ!」

悪五郎は刀の斬り上げの剣圧のみで、この胞子を吹き飛ばす!

そして一足飛びで樹の懐に飛び込むと。

「失せい、樹妖」

首、胴、手足と、鮮やかな剣捌きで切り分けた。

「邪魔をするな。大戦の前…貴様なぞに構っておる暇はないのだ」

< 7 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop