48歳のお嬢様
クラブ『スターダスト』
夕方過ぎ。
一旦屋敷に戻ったけれど、やっぱり金曜の夜だし、お出掛けしたい……。

和樹は疲れているかしら?


「和樹、これから一緒にお出掛けしたいと言ったらうんざりしてしまう?」


「おや、朝からそのご予定でございましたでしょう?
お召し物の準備もしてございますよ?」


「でも、今日は理事会もあって気疲れしたし、スケジュールがつまっていて忙しかったじゃない?
疲れていたら出掛けたくないんじゃ…」


「お気遣いには及びません。
お嬢様と夜のお出掛けは、楽しみでもあります」


「そうね。
お食事とお酒のデートみたいよね…」


「はい、毎回、綺麗な女性にデートに誘って頂けて嬉しい限りでございます。
こんな執事はあまり居ないでしょう…光栄に存じます」


「あら、それはどうもありがとう。
和樹も素敵な男性ですもの、私だって毎回楽しくってよ?
でもどうせならもう少し若い女性が良かったでしょう?」


「お嬢様は私より6歳も若くていらっしゃいます」


「それは…そうだけれど」


「今夜もしっかりエスコートさせていただきます。
なるべくお側をお離れになりません様に…。
あそこにはいつも大きな虫が一匹おりますので」


大きな虫とは、マスターの西島さんの事。


「お髭の生えたベーシストの虫かしら…。ひどい言われようだわね」


「西島は昔からお嬢様への態度がなっておりません。
馴れ馴れしすぎますので、くれぐれもお気をつけください」


「大丈夫よ。本当に西島さんと和樹は仲が悪いわね。何故かしら、不思議だわ」


「彼と仲良くなったら、それこそ不思議でございます」


何故か解らないけれど、お互いに天敵同士の様に見える二人なのだ。






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