48歳のお嬢様
心を使いました
土曜の朝は、いつもならゆっくり起きるのだけれど、
今朝は平日と変わらない時間に目が覚めてしまったので、早い時間にリビングに降りた。


川村さんも寺田さんも土日はお休みなので、居るとしたら……。
やっぱり和樹がコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。


「おはようございます、お嬢様。
早起きでいらっしゃいますね。
土曜はブランチの予定でしたが朝食をお作り致しましょうか?」


「おはよう。
和樹もお休みなのに相変わらず早起きね。
私もコーヒーだけでいいわ。
あ、自分で入れるからいいのよ?座っていて」


「とんでもございません、何をおっしゃいますか。
私がいる時はいつも通りおまかせください」


「そう?じゃあお願いね。
今朝は何だか気分よくスッキリ起きてしまったの。
お休みなのに予定がないわ。
モテないってこういうことよね」


「お嬢様は、いつまでもお綺麗でいらっしゃるので、若い頃も今もずっとおモテになっていらっしゃいますよ?
それとなく振り払うのが大変でございます。
特にゆうべの害虫は、しぶとくて厄介です」


「……そうなの?
害虫って、もしかして西島さんのことかしら?
例えがどんどん酷くなるわね。
和樹は私の知らないところでも私のために働いてくれているのね。ありがとう」


「働いている意識はございませんが…。
まぁ、お嬢様を全面的にお守りするのも仕事でございますね」


「本当にね。私は和樹がいなくなったらきっと生きていけないわね。
ずっと一緒にいてくれなければ困るわ」


「……いなくなることなどございません。
生涯お仕え致しますゆえ、ご安心くださいませ。
コーヒーをどうぞ」



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