尽くしたいと思うのは、
◇社外で相談




「ということがあったの……」



休み明けの月曜日。珍しくお弁当を持参していなかったわたしは、真由と近くのランチを食べに行っていた。



加地さんとのことがショックで、休みの間は料理もせずにほとんどぼんやりとしていたわたし。当然今日のお昼ご飯も用意できず、いつもと違う様子だった。

その姿を不思議に思った真由に声をかけられ、「ひとりで泣いたら許さない」という言葉を思い出したわたしは彼女に泣きついたんだ。



加地さんと佐野さんのことはさすがにわたしが勝手に話していいことじゃないから軽くしか説明していないけど、その他の最近の出来事は洗いざらい彼女に報告した。

コーヒーを差し入れしたこと、ご飯に行ったこと、部屋に泊めてもらったこと。そして、キスされたのに浅田さんを勧められたこと────。



思い返すだけでまたなみだがにじみそうになり、ふるふると首を振って誤魔化した。



「だから言ったのよ、加地さんは無理だって。
そんなふうに私のいないところで泣くことになって……」

「うん……ごめんね」



真由の心配していたとおりになってしまった。冷たいことを言いながらも気にかけてくれていたとわかっていたのに、悪いことをしちゃったなぁ。

注文したオムライスにはほとんど口をつけていない。手持ち無沙汰で手にしていたスプーンをその場に置いた。



「やっぱり、浅田さんと出かけてみるのもありじゃない?」

「え?」



目の前でドリアを食べている彼女の提案にわたしは困惑の声をこぼす。まさか真由までもが浅田さんを勧めてくるなんて。

浅田さんのことは嫌いじゃないし、いい人だと思っている。だけどわたしが想っているのは、加地さんなのに。



「加地さんが言ったから、とかじゃないわ。
元々くるみには浅田さんみたいな人がいいと思っていたの」



そういえば、気になる人ができたと報告した時も浅田さんのことを話題にあげていたっけ。加地さんをいやがっていたのは知っていたけど、そこまで浅田さんを推していたなんて気づかなかった。






< 51 / 72 >

この作品をシェア

pagetop