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引っ越しは災難のはじまりです。


真っ青な空、少しだけ水気を帯びた空気。
晴れ渡った空の下、私は大きく伸びをし深呼吸する。


使い馴れたキッチン。日当たりのいいベランダ。今はもう箱みたいな空間になってしまったけどお気に入りだった部屋。


私はそれらに今日お別れをする。


物凄く気に入ってた。たぶんこんな機会がなかったらここにはもっとずっと住んでた。


でも、いい機会かな。と思った。古い思い出を払拭するには。


新しい生活に不安は付き物。だけどいつまでも古い思い出にしがみついている訳にもいかない。いつまでも泣いて暮らす訳にはいかない。


だから、友達の誘いを私は受けたんだ。


もう枕を濡らす生活なんてしたくない。したくないから私は決断したんだ。ここを出て行く事を。

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