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彼と彼女の情事



少しずつ日が延びて、空がまだ明るい。そんな時間に帰れる事が嬉しくて、いつもより軽い足取りで部屋に向かう。


この所残業も多くて、家に帰ってもろくに自分の時間が取れなかったから、だから余計に家が恋しい。


今日は何しよう?久々にネイルでも塗ろうかな?そう言えばネイル道具どこに仕舞ったっけ?


だけど部屋の前に辿り着くと、ドアの前に怪しい人影を発見。近付けば宝生さんとすぐに認識出来たけど、なぜ部屋に入らないんだろ?


ドアの前に背を預け俯いている彼。少し離れた所からそんな彼を眺めていると、ふと顔を上げた宝生さんと自然と目があった。


「棗ちゃん、お帰り」


「た、だだいま。あのー、何してるんですか?」


宝生さんの近くまで歩みより鞄から部屋の鍵を出す。もしかしたら宝生さん鍵を忘れて誰かの帰りを待っていたのかも。だったら早く開けなくては。


けど、ドアに鍵を差し込もうとした途端、その腕をガシッと捕まれた。


「……えっ」


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