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元カレと過去



次の日、いつもならあるはずの宝生さんの姿はそこになかった。誰よりも朝早く起きてキッチンに立つているはずなのに、今日は誰も居ない。


それを不思議に思いながら、彼の部屋のドアをみつめた。
どうかしたのかな?


「うー、頭痛っ」


暫くすると辛そうに頭を抱えた宝生さんが現れた。声も若干張りがない。


「大丈夫ですか?」


あんまり近付ける雰囲気じゃあないけど、見た感じ辛そうだったので声を掛けてみた。ソファーに踞った宝生さんは気だるそうに私を見つめた。


「うっ、大丈夫じゃあ、ないから……」


あまりにも辛そうな彼の姿に、私までもがあたふたする。どうしたんだろ?もしかして、二日酔い??でも、昨日の彼はそんなに酔っ払ってる様には見えなかったけど。


「あのー、お水 飲みます?」


「…ありがとう」


ソファーから動けない彼に変わって、冷蔵庫からペットボトルの水を取り出す。彼に手渡せばそれをごくごくと飲み干した。


喉、渇いてたんだ。


彼のそんな姿を見ながらぼんやりと思った。
私はテーブル越しにその姿に見惚れていた。



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