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ドンドンとドアを叩く少し大きな音でふと我に返る。それと同時に宝生さんの声がした。
「棗ちゃん、大丈夫?」
ドアの向こう側から心配そうな宝生さんの声が聞こえた。私は冷静さを装い「大丈夫です」とだけ彼に告げた。
けどそれか余計に彼の心配を煽ったらしい。少し声も掠れていたし、きっと大丈夫じゃあないと物語ってる。
「棗ちゃん、開けるよっ」
だから彼は心配してくれたんだと思う。
微かに漏れてる嗚咽だって聞こえてたのかもしれない。
声を殺して泣いてたつもりだけど、それだって彼の耳には届いていたのかもしれない。
なんか情けない。本当に情けない。
「棗ちゃん…」
そんな私の気持ちなんて露知らず、開け放たれたドアの向こうから宝生さんは現れる。そして私を見てびっくりしていた。
膝を抱え俯く私の肩に、温かな手が添えられる。
「ごめん…」
なぜか謝る宝生さんに私は何も言えないまま、首を横に振った。

