上司がキス魔で困ります

「そりゃ言ったよ。めぐちゃんの幸せが俺の幸せだからね」
「じゃあ、」
「でもフィンランドなんて遠すぎる!!!!」


 クワッと目を見開いて、蘭ちゃんは叫んだ。


「東京からヘルシンキまで十時間以上かかるんだよ、時差は六時間だよ!?」
「あ、うん、そうだね……」
「無理無理。遠すぎる。そんな遠くに行くなんて、お兄ちゃん許しません」


 そして蘭ちゃんは少し乱暴に食器棚を閉めると、キッチンを出て部屋に戻って行ってしまった。


「蘭ちゃん……!」


 急いで後を追いかけたけれど、部屋に鍵をかけられてけんもほろろ。


 蘭ちゃんにわかってもらおうなんてやっぱり無理があったのだろうか……。

 この二週間のおもてなし疲れもあって、どっぷりと落ち込んでしまった。


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