上司がキス魔で困ります

「お待たせしました!」
「……」


 私が声をかけると、音羽課長がKindle端末から顔を上げる。

 じーっと私を見つめたあと、さらに軽く目を細めた。


「春川くん?」
「……は、はい。お待たせしました」


 すると音羽課長は私を凝視したまま、端末をバッグにねじ込むと、一歩近づいてきて、さらに顔を覗き込んだ。


「きみ、本当に俺の彼女の春川くん?」
「えっ?」


 まさかの発言に顔が赤くなる。


「こんなに可愛かったっけか」


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