上司がキス魔で困ります
「なんです?」
顔を近づけると頬に手が伸びてきた。目の端を拭うように、課長の親指が撫でる。
「泣いたのか」
「あ、ちょっと感動して……少し」
涙を拭かれてしまった。恥ずかしい。
けれど音羽課長はそのままスリスリと私の頬を撫で続けている。
じーっと私を見つめる眼差しはとても優しい。だからなんだか勘違いしそうになった。
「ちょっ、やめてくださいっ」
慌てて席を立ち上がった。
「さ、次はランチですよ」
「わかった」
立ち上がった課長は、そのまま私の手を握って歩き始める。
驚いたけど、一応デートだからと、飲み込んだ。