さよならの準備はできている
さよならの準備はできている
午前6時26分。

私は目覚まし時計が鳴る前に目を覚ました。
黄緑色のカーテンを開けると、太陽の光が眩しくて目がくらむ。

今日も身体が溶けるような暑さ。
額に汗が滲む。

窓から差し込む太陽の光。
鳥のさえずり。

いつもと変わらない朝だった。
ただ違うのは、今日は"特別な日"だということだ。

シャワーを浴びて、姿見を見つめながら制服に着替える。

学校指定の赤色のリボンに、白の半袖シャツ。
グレーのスカートに、紺色の靴下。

胸のあたりまである黒髪は、いつもポニーテールにしている。
でも今日はいつものように束ねない。
暑いけれど仕方がない。

一度深く息を吐いて気持ちを整えてから、勉強机の右の引き出しを開ける。

引き出しには白い封筒。
それだけが引き出しの真ん中に丁寧に置かれている。

これは私の"遺書"だ。
昨日の夜、私が白い便箋にしたためた。

封筒があることを確かめ、引き出しをしまう。

そしてスクールバッグを手に取り、私は部屋をあとにした。
< 1 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop