奥さんの身柄、確保!
第3話 犯人の正体
「奥さん。本当に思い当たるフシがないんですかぁ?」
「イヤ全く」

 彼がポッケからメモ帳を取り出して、私はさっきから事情聴収を受けている。

「俺、出る前にちゃんと調べて来たんです……それで遅くなっちゃったんですけどね……いやホントに」

 何やら奥歯に物が挟まったような言い様だ。
 訝しむ私に構わず、彼は続ける。

「この辺りで同様の被害は全く出ていない……奥さんのところだけなんですよ。ピンポイントで狙ったとしか思えない。

 そうしたトコロに警察を装った不審者……そいつ、明らかに犯人ですよ。しかも貴女の家だと知ってやってる」

「コワイ事言わないで下さいよぉ…」

「ね、奥さん。最近なんか変わったことがないですか」

「変わったコト?」

 腕組をして考える。
 最近変わったコトと言えば……

「そうそう。最近やたらモテるようになったかな~、なんて」
「ふーん」

 全く興味なさそうだ。失礼なヤツ。
 私はムキになって続ける。

< 10 / 30 >

この作品をシェア

pagetop