奥さんの身柄、確保!
第2話 現れたのは
 ふと目をやった道路の曲がり角から、ものすごいスピードの自転車が、猛然と突っ込んでくる。

 あまりの速さとその派手さに、思わず目を奪われているとーー

 ウワッ‼

 一陣の風を巻き上げて、それが私の目の前で急停止した。

 呆気にとられる私の前で、派手な改造ロードレーサー(自転車)から、乗り手の男がフワリと降り立つ。

 レイバンのスポーツサングラスを、ちょっぴりわざとらしい仕草で外した彼は、鮮やかに私に向かって微笑んだ。

「どうも」
 
 スッキリ二重の端整なお顔。ツーブロックのヘアスタイルが風に靡いて、汗にキラキラと光っている。
 青色のシャツが汗でぴっちりと貼り付いて、スポーツ選手のような筋肉質の身体が浮き立っている。
 

 あら、ちょっといいかも♥…

 思わずポヤンと見惚れていると、彼は胸ポケットからもどかしそうに、黒くて四角い何かを取り出して、私の前でパカッと開けた。

「奥さん、お待たせしました!警察です」


 ………。


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