探偵の彼に追跡されて…
「沙汰郎?今のままの状態で美野里ちゃんを探し出しても美野里ちゃんに嫌な思いをさせるだけだぞ?好きな男が偽装とはいえ他の女と婚約する事を良い気持ちでいられる訳がない。ましてや相手は偽装のつもりは無いんだからな?聡美さんがまた美野里ちゃんにどんな事を言い出すか分からないぞ?」と航は心配する。

「ああ…でも…美野里の居場所が分からないんじゃ俺も心配で…」

「まずはお袋さんや会社の事を片付けたほうが良い」

「………」

「その間私達が美野里ちゃんを探してあげるわ!」と皐月が言う。

「美野里ちゃんを探すと言ってもな…皆んな仕事もあるからな…」

「なによ協力しないつもり!?そんな薄情な奴離婚だからね!?」

「馬鹿野郎!?協力したいに決まってるだろ!?だか俺は刑事だ休みに動くと言っても事件が起これば呼び出しがかかる。お前だって交通課といえ課長だ仕事が多くて休みもまともに取っていないだろ?真一や優子ちゃんが休みに動くと言っても素人じゃどれだけ出来るか」

「でも美野里ちゃんをこのままにしておけないでしょ?」

「俺が探しますよ!」と、突然聞こえてきた声に皆んなが振り向く。

「渉?いつからそこに居た?」

「随分前から事務所には居たんですけどね?皆さん深刻なお話だったので声掛けなかっただけですよ」と渉は言う。

そして

「皆さん僕は情報収集のプロですよ?僕に任せておいて下さい。だから所長は自分のやるべき事を片付けて下さいよ」

「渉… ありがとう」

「いえいえ!美野里さんが自分を捨てた男と探しだした男、どちらを選ぶか見てみたいんですよ!」

「渉お前!?」

「冗談ですよ!結果なんか初めっから分かってるじゃないですか?」と渉は笑う。





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