【完】音にならない“好き”をキミだけに。


そう思う俺は、相当佐倉のことが好きなんだと思う。


……って、そんなの当たり前か。





「真白くん、真白くん」

「無理」

「まだ何にも言ってないんだけど」


放課後、佐倉を誘って帰ろうとした俺の元に来たのは、敦弥。俺のことをくん付けして呼ぶ時は、大抵変なお願いをしてくる時だ。


だから、今回も決まって変なお願いだろう。

できれば聞きたくないけど、いつの間にか俺の腕を掴んでいて、離してくれる気配が一向にない。


「なに?」

一応聞くけど、お願いだから、無理なことは言わないで。


「……バレンタインの日、ダブルデートしない?」

「無理」

「うん、だよね。それは分かってるんだけど、本気でお願い」

なんでだよ。

そういう日こそ、敦弥は紫乃ちゃんと2人が良いって言いそうだけど…?


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