【完】音にならない“好き”をキミだけに。


「あ、花火始まったみたいだよ」


ドーンっと大きな音を立てて、打ち上がる花火。


すごく綺麗だけど、それは隣に佐倉がいるから余計綺麗に見えているのかなとも思う。


「……か、加賀谷くん」


「ん?なに?」


「手、繋いでもいいですか?」


「いいですよ」


暗くて佐倉の表情は上手く見えないけど、きっと真っ赤になってるんだろうな。


…そうなってたらいいなっていう俺の願望も少しは含まれてるんだけどね。


繋がれた手から、俺の気持ちが佐倉に伝わればいいのに。


“好き”って気持ちが、全部、全部……、伝わってくれればいいのに———。




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