紫色の水溜まり。
扉は閉まって、ゆっくりと動き出した。
揺れる車内で、手すりを掴んだ。強く強く。
遠ざかる彼が、霞んでいく、見えなくなる。
きっと、もう会えないと思った。
彼の隣に、私がいることは、もう二度とないと。
__紡げなかった言葉たちは、行き場を失った。
空いていた座席に力無く腰を下ろした私は、スマートフォンを取り出して、検索画面をひらいた。
【紫陽花】
一番上にでてきたのは、
"紫陽花の花言葉"だった。