ティアラ
「あれ?」

自転車のタイヤにくくりつけたはずなのに、なぜかロープの端は地面を這って、あたしの前に戻ってくる。

慌てて前を見たら、そこには枝切りバサミを持っている深町が立っていた。

「ざまーみろ」

後ろに倒れたあたしを、鼻で笑う彼。

「どうして、そんな危ないものを持ち歩いてるのよ!!」

作戦が打ち砕かれ、ムカついたあたしはロープを持ったまま、彼のそばまでズカズカ歩いた。

自転車にキーをさしている彼は「護身用」と答えるだけ。

天敵「深町篤紀」と再会し、宣戦布告をしてから1ヵ月が経った。

毎日こうやっていろんな罠を仕掛けているけれど、最近はなかなか成功しない。
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