ティアラ
そりゃあ、カッコイイなと思った時期もあったし、直子の言うとおり、休憩時間に眺めてたこともあったけど、断じて、あの男は初恋の相手なんかじゃない。

「別にいいじゃん、そんなムキにならなくても……。誰だって失恋くらいするわよ」

大声で怒るあたしに、呆れた態度でつぶやく直子。

「え、美和がふられたの?」

直子の話を真に受ける太一は、驚いた表情で間に割り込んでくる。

「ふられてないわよ!!」

勝手に決め付ける直子と、その話を信じる太一に苛立ったあたしは、のどが枯れるくらい大きな声を出した。
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